研究棟・セラミックス棟
Research Building & Ceramics Building

研究棟・セラミックス棟では、原子力材料のミクロ組織分析を行います。
放射線管理区域内に一連の設備・装置群が整備されており、世界でも有数の照射後分析センターとなっています。原子力材料が中性子照射されると、材料中で原子のはじき出しが生じ、その結果、種々の微細組織変化(原子空孔、ボイド、溶質・不純物原子の析出物やクラスター、スピノーダル分解、欠陥への水素捕獲、結晶粒界での溶質・不純物原子の偏析や欠乏など)が生じます。これらを、3 次元アトムプローブ、透過電子顕微鏡、陽電子消滅法、昇温脱離分析などで観察し、中性子照射による材料の劣化のメカニズムを明らかにします。


軽水炉材料の研究
現行の原子力発電所のほとんどを占める軽水炉で用いられている材料(原子炉圧力容器鋼、ステンレス鋼、ジルコニウム合金など)について、中性子照射による材料の劣化とその原因を調べています。例えば原子炉圧力容器鋼では、透過電子顕微鏡• 3 次元アトムプローブ・陽電子消滅などを組み合わせることにより、照射脆化のメカニズムを原子レベルで解明しつつあり、世界をリードする研究が進められています。 図は原子炉圧力容器鋼監視試験片の3次元アトムプローブ測定した結果です。非常に微細なNiMnSiクラスターが高密度で生成していることがわかります。これらのクラスターが照射脆化に影響を及ぼします。

核融合炉材料の研究
核融合炉の実現に向けて、核融合プラズマに直接接する材料(プラズマ対向材料)の開発が求められており、タングステン合金は有力な候補材料の一つです。大洗センターでも、タングステンの機械的特性、電気伝導特性、水素滞留特性などがさかんに研究されています。 特に、中性子照射がそれら特性に及ぽす影響が調べられています。右図は、中性子照射後のタングステンを3次元アトムプローブおよびTEMで観察した結果です。核変換によって生じたレニウムがボイドに集合して、レニウムでデコレートされたボイドが生成していることが分かります。このようなクラスターが、中性子照射による材料特性変化をもたらすと考えられています。

次世代原子炉材料の研究
次世代原子炉における構造材料として、低放射化フェライト鋼や酸化物分散強化鋼が有望視されています。大洗センターでは、これらの鉄鋼材料について、ベルギーのBR2で中性子照射を行った後に引張試験や硬さ試験などの機械的試験やTEM観察などのミクロ組織分析が行われており、材料開発が進められています。右の図は、代表的な低放射化フェライト鋼であるF82H鋼などの中性子照射前後の引張試験の結果です。中性子照射により、降伏応力が高くなる一方で伸び量が減少していることが分かります。

研究棟・セラミックス棟装置











- 3次元アトムプローブデータ解析PC
- 3次元アトムプローブ用試料作製電解研磨装置
- サーボ・パルサー
- ジェントルミル
- スポット溶接機
- デジタルマイクロスコープ
- ビデオマイクロスコープ
- プラズマクリーナー
- マッフル炉
- ワイヤ加工機
- ワイヤ放電加工機
- 高速自動精密研磨機
- 実体顕微鏡付試料研磨機
- 小型ディスクカッター
- 超高温材料試験機・熱処理装置
- 電解研磨装置
- 入射エネルギー可変陽電子ビーム装置
- 熱処理装置(超高温)サーボパルサー
- 薄膜試料作製装置
- 陽電子消滅2次元角相関測定装置
- 陽電子消滅同時計数ドップラー広がり測定装置